「社員に経営者視点を持て」はなぜ無理なのか?社員が自発的に動くための目的の重ね方
2026.06.17
こんにちは。タレントらくだの佐藤由美乃です。
タレントらくだとは?↓
「もっと経営者視点を持って仕事をしてほしい」
多くの経営者からよく聞く言葉ですし、私も、クライアントの社員さんに対して、この人はもう少し経営者視点を持てればいいのになぁ、と感じたこともありました。
でも、あえて結論から言います。
社員に経営者視点を求めるのは、構造的に「無理」なのです。
ここを勘違いしたまま「なんで分かってくれないんだ」とイライラしていると、社長も社員も疲弊し、最悪の場合は心の離職(エンゲージメント低下)や本当の離職に繋がってしまいます。
なぜ無理なのでしょうか。
理由はシンプルで、「人は自分が体験したことのない領域は、身をもって理解(確信)できないから」です。
私自身の話をさせてください。
かつて会社員(社長秘書)だった頃、恥ずかしながら会社に対して不満がたくさんありました。
しかし、いざ独立して自分で会社を立ち上げてみて、景色が180度変わりました。
資金繰りのプレッシャー、そして人事も、経理も、総務も、これまで会社が当たり前にやってくれていたことの裏側にある「膨大なコストとありがたみ」……。
これらは、会社員時代にいくら本を読んだり想像したりしても、絶対にリアルには理解できなかった領域でした。自分が「経営者」というポジションに立ち、身をもって体験して初めて、本当の意味で確信できたのです。
タレントらくだが採用している『タレントダイナミクス』に、
「タレントスペクトル」という、意識の視座レベルを測定するツールがあります。
各レベルがどういった意識で仕事に向き合っているかが示され、ひとつ上のレベルに行くためにやるべきことと手放すべきことが明確になっているのがこの診断の唯一無二で秀逸なところです。

社長の視座が社員から「見えない」という現象は、
「自分より下のレベルのことはよく分かるが、自分より上のレベルの景色は未知なので分からない」ものだと、このタレントスペクトルで説明されています。
経営者は、会社員(プレイヤー)の経験を経て経営者になっているので、社員の気持ちや視界が分かります。しかし、経営を体験したことのない社員から見れば、経営者の視界(上のレベル)は「想像はできても、霧がかかっていて見えない未知の世界」なのです。
見えないものを「見ろ」と言われても、社員はどうしようもありません。求めるべきなのは、視点を合わせることではないのです。
社長が望む、「会社の売り上げをもっと大きくしたい、会社を成長させ、社会にもっと貢献したい!」という考えは、社員にとってみれば、どこまでいってもそれは社長自身の目的で、自分のものとは違うのです。
でも、うちの会社に入社しただろう、うちの会社の利益が拡大すれば、社員の給料だって上げられる、ならば一生懸命やれるはずでは?
そう思うのも分かりますが、社員にとってそれ自体が直接的に自分のモチベーションになるには、ちょっと遠回りすぎるんですね。
では、視点が合わない前提で、どうやって組織を動かしていけばいいのでしょうか?
答えは、「社長の目的と、社員の目的は違って当たり前」だと受け入れ、社員の目的(人生)にスポットライトを当てることです。
- 社長の目的: 会社のビジョンの実現、社会変革、事業の継続(スペクトルの高い視点)
- 社員の目的: 自分の人生を豊かにすること、生活の安定、ここでの成長(身近な視点)
「会社のビジョンに共感しろ」と上から押し付けるのではなく、「社員は、この会社で一体何を得たいのか?」「この仕事を通じて、自分の人生をどう豊かにしたいのか?」を、社員自身に徹底的に考えさせるのです。
彼らにとっての「目的」は、会社の目標ではなく、自分自身の人生です。
社員が「この会社で働くことが、自分の人生の目的(成長や自己実現)に繋がっている」と確信できたとき、彼らは頼まれなくても自発的に動き出します。
経営者の仕事は、社員に無理な「経営者視点」を要求することではありません。
「社員自身の目的(人生)」を引っ張り出し、それが「会社の目的(ビジョン)」とどう重なり合っているか、その結び目を見せてあげることです。
レベルによって目的は異なります。
同じ社員でも、
お金のためだけに働き、怒られないように無難に過ごすレベルもあれば、
仕事の面白さが分かってきて、自分なりに工夫をこらそうとするレベルもあります。
これはどのレベルが良くて、どのレベルが悪いがいい、というものではありませんが、人を動かす経営者ならば、社員の目線を理解することは、必須の内容ではないかと思います。
彼らのレベルでの熱源(内発的動機)を尊重すること。それが結果的に、離職を防ぎ、エンゲージメントの高い強い組織を作る唯一のルートなのです。
御社の社員の皆さんは、「この会社で何を得たいか」を自分の言葉で語れますか?
まずはそこを問い直すことから、始めてみませんか。
タレントらくだでは、
人それぞれの特性を理解し、最適化するためのツール『タレントプロファイル』と、意識の視座レベルを測定するツール『タレントスペクトル』を活用して、組織の活性化を支援しています。
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楽しく学べました。自分自身の経営に活かしていきたいと思います。
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才能のミスマッチ、確かにあるだろうなと思いました。新たな視点で社員を見てみます。